Nature ハイライト

物性:クロムの「反」強磁性に注目

Nature 452, 7189

強磁性体では、スピンの向きがそろった領域(磁区)が電気的特性に影響を及ぼすことはよく知られている。したがって、新分野の「スピントロニクス」においては、磁区構造を制御することが電子スピンを操作する手段として有望だと考えられている。しかし、隣り合うスピンの向きがそろっておらず、反対向きになっている反強磁性体の磁区構造は、あまり注目されてこなかった。こうした磁区は正味の磁性をもたないので、詳しく調べることが難しい。今回、R KummamuruとY-A Sohは、典型的な反強磁性体であるクロムでも、電気的特性に顕著なスピン関連効果がみられることを明らかにしている。この効果は、強磁性体でみられる効果と少なくとも同程度である。クロムは既に集積回路やディスクドライブに使用されているが、今回の結果は新しい応用につながるかもしれない。

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