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Cover Story:グリーンランドは溶けているか?:証拠を吟味する

Nature 452, 7189

グリーンランドには世界の氷の約10分の1が存在するが、それが溶け始めているのかもしれない。2つの衛星を使ったGRACE(Gravity Recovery and Climate Experiment)計画で得られたデータから、2002年から2006年にかけて氷が激減し、年間150〜250立方キロメートルもの量が失われていることが示された。しかし、他の指標はこのデータと矛盾しており、このような融解が地球の海面レベルにどのような影響を及ぼすかは難しい問題である。News FeatureではA Witzeが、密接に関連した3つの疑問を提起して、グリーンランドで何が起こっているのかについての現在の大多数の見解をはっきりさせようと試みている。第一の疑問は、現在の二酸化炭素排出の結果として既に「進行している」温暖化が、将来も海洋の温度を上昇させて、その結果氷床の融解を後戻りできない限界点まで押し進めることがあるのかどうか、第二は、我々はこのような限界点にどの程度近づいているのか、そして第三は、氷床の融解は時が経つにつれてどのくらい加速するのだろうか、というものだ。これまでに観察された変化に基づいて、このような過程には数千年がかかるだろうという前提は再検討されつつある(News Feature p.798)。

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