Nature ハイライト 生理:昆虫の嗅覚受容体 2008年4月24日 Nature 452, 7190 線虫からヒトに至る多くの生物で、匂いは大きなファミリーを形成する7回膜貫通型受容体によって感知されるが、これらの受容体は今まではGタンパク質共役型受容体に分類されていた。しかし昆虫では、極めて簡単で効率的な嗅覚が進化しており、これが正しく機能するには第二の構成要素、イオンチャネルを形成するシャペロンタンパク質Or83bが必要である。佐藤幸治たちは、これらのヘテロマー受容体がGタンパク質共役型セカンドメッセンジャーとは関係なく機能するリガンド作動型陽イオンチャネルを形成することを示し、他の7回膜貫通型タンパク質も同様のイオンチャネル活性を示す可能性があると推測している。関連するもう1つの論文でWicherたちは、嗅覚受容体へのリガンド結合は直接的なチャネル活性化に加えて、Gタンパク質共役型チャネルの活性化も引き起こすことを示している。以上の結果は、蚊のような疾患媒介昆虫の宿主探索行動の制御に使えそうな昆虫嗅覚受容体阻害物質の探索にもかかわってくる。 2008年4月24日号の Nature ハイライト 宇宙:ブレーザー発生の原因を捉えた 遺伝:甲虫のゲノム解読 神経:嗅覚を研ぎ澄ます 物理:エキゾチックな量子相の共存 地球:マントルへの圧力の影響 環境:キクイムシが切り替える森林炭素動態 生理:昆虫の嗅覚受容体 生理:脂質で血糖値を調節 遺伝:ストレス応答とY因子 目次へ戻る