Nature ハイライト

Cover Story:レヴィ・フライトする光子:新規光学材料への道を拓くレヴィ・ガラス

Nature 453, 7194

牛乳や雲、生体組織などの半透明物質の外観は、光とそれらの物質の相互作用によるもので、入射した光線は物質によって何度もランダムに散乱された後、再び出てくる。流体中の粒子のブラウン運動に似たこの現象は、ランダムウォークと呼ばれており、例えば、熱、光や音の拡散を記述するのに使われる統計物理学の中心的概念である。この概念が拡張されたのがレヴィ・フライトで、この場合は、運動する物体が時折異常に大きなステップをとることで系の挙動が一変する。レヴィ・フライトは、地震や動物の餌探しといった多様な系において認められてきた。Barthelemyたちは今回、そのような挙動を取り込むように設計した光学材料(ガラスマトリックス中の二酸化チタン粒子)を作製した。得られた「レヴィ・ガラス」では、光波は普通に拡散せず、レヴィ・フライト挙動を示し、光子は極めて効率よく広がる。これは、レヴィ・フライトを研究する理想的なモデルになると考えられ、また新しい光学材料にもつながるかもしれない。表紙は、光源を右上においたときの光子の移動経路を示している(Letter p.495)。

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