Nature ハイライト 遺伝:「幹細胞になる」のを阻む障壁 2008年7月3日 Nature 454, 7200 完全に分化したヒト細胞(体細胞)を多能性幹細胞状態に確実にもっていくことができれば、再生医療における大きな進歩となるだろう。最近のヒト細胞とマウス細胞を使った研究で、このような初期化が可能なことは明らかになったが、iPS(人工多能性幹)細胞を得る現在の方法は効率が悪く、その仕組みもほとんど解明されていない。今回、マウスの繊維芽細胞とBリンパ球の初期化のゲノム解析と、クロマチンの状態およびDNAメチル化の状態の解析とを組み合わせた研究が行われ、大半の細胞の初期化を阻んでいる障壁が明らかになった。一部の細胞が部分的に初期化された状態で止まるのは転写因子の抑制が不十分なためらしく、転写因子を一時的にRNAで阻害すると初期化が促され、DNAメチルトランスフェラーゼの阻害剤で処理すると初期化過程の効率が改善される。 2008年7月3日号の Nature ハイライト 遺伝:「幹細胞になる」のを阻む障壁 進化:極めて初期の細胞膜 材料:よくのびるクリーム 化学:水素原子を強く引っ張る 生態:海洋酸性化の生態系への影響 生理:心臓の修復 神経:塩にひかれる 医学:コカインが欲しい! 目次へ戻る