Nature ハイライト 感覚:体温調節 2008年8月7日 Nature 454, 7205 ショウジョウバエの脳のきのこ体ニューロンは学習、記憶、睡眠調節などの過程に極めて重要である。S-T Hongたちは、きのこ体のニューロンが温度選好行動にもかかわっていることを明らかにしている。ヒトなどの一部の動物は、代謝を変化させることで体温を内因的に調節している。ところが、ショウジョウバエ(Drosophila)などの他の動物にとっては、体温は外界との熱交換の結果で決まる。ショウジョウバエは遺伝的に決められた至適体温に合致した環境を本能的に探すが、これは哺乳動物が設定体温に合わせるのに似た作用である。きのこ体でサイクリックAMP依存性キナーゼ活性を人為的に低下させると、ハエは好ましい温度がわからなくなり、活性を高めると高い温度を好むようになる。この研究は、温度感覚にかかわる細胞機構の一部が学習や記憶と共通のものである可能性を示している。 2008年8月7日号の Nature ハイライト 医学:模範解答 細胞:結核菌の自己活性化 薬理学:部分アゴニストが働く様子 細胞:生命の新たな始まり 宇宙:銀河の暗黒物質の分布 地球:地球内核が東半球と西半球で異なる理由 進化:目新しい機能を進化させる 遺伝:DNAメチル化の地図 感覚:体温調節 目次へ戻る