Nature ハイライト 細胞:有毛細胞を作り出す 2008年9月25日 Nature 455, 7212 蝸牛の有毛細胞は、脊椎動物の音感知装置の一部であり、この細胞が失われたり傷ついたりすると聴力障害が起こる。哺乳類はこの細胞を再生できないが、これまでに行われた研究によって、転写因子Atonal homologue 1(Atoh1)を異所性発現させると、通常は蝸牛有毛細胞には分化しないはずの細胞を、有毛細胞に似た細胞へと誘導できることが明らかになっている。今回Gubbelたちは、子宮内でマウス蝸牛にAtoh1遺伝子を導入すると、有毛細胞が異所的に生じることを明らかにした。重要なのは、この余分な有毛細胞が機能でき、ニューロンとの接続がみられることである。この結果は、ヒト聴力障害のマウスモデルでの難聴に対する遺伝子治療が有効かどうかの検証に向けた大きな進展である。 2008年9月25日号の Nature ハイライト 発生:力を合わせてRNAiを制御 宇宙:マグネターから発生するフレア 工学:電場で磁化を操る 気候:北大西洋の流れは安定している 考古:酪農の起源 免疫:生涯働き続けるインフルエンザ抗体 細胞:有毛細胞を作り出す 細胞:ループを保つクロマチン 目次へ戻る