Nature ハイライト

免疫:細菌由来のATPはTH17細胞を援助する

Nature 455, 7214

粘膜の一部を形成している細胞層である腸管粘膜固有層は、いろいろな細胞集団が複雑に混在していることが特徴で、その中にはヘルパーT細胞のサブセットで、インターロイキン-17を産生する17型TヘルパーT(TH17)細胞も含まれ、選択的にここに存在している。今回、マウスでの研究から、常在細菌が腸管樹状細胞の特別のサブセットを活性化して、インターロイキン-6産生やTGF-βの活性化を誘導し、それによって局所的なTH17細胞の分化を促進することが示された。この促進効果は、常在細菌の産生するATPによるものだとわかった。これらの知見は、免疫疾患における常在細菌とATPの重要性をはっきりと示しており、また、異常なTH17細胞応答が炎症性腸疾患などの免疫疾患を引き起こす機序の解明に役立ちそうだ。

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