Nature ハイライト

進化:1人よりペアで協力したほうが得

Nature 455, 7215

血縁関係にない個体間の協力行動がなぜ進化したのかは、社会科学においても自然科学においても謎とされている。この現象の解明を進める上で障害になっていると思われることの1つは、理論研究者と実証研究者が別々に仕事をする傾向がみられることである。Bsharyたちは、こうしたそしりを避けるために、ゲーム理論モデリング、野外観察および実験的検証を組み合わせ、掃除魚であるホンソメワケベラ(Labroides dimidiatus)の相手を変えることがない安定な雌雄ペアと、その依頼者となる魚との間の掃除を介した相利共生という、協力についてのこれまで調査されていなかった問題を研究した。理論からは、2匹のサービス提供者が互いに協力しているかぎり、単独のときよりも依頼者に質の高いサービスを提供するはずだと予測される。野外観察と実験により、モデルのこの予測が正しいことが確認された。ペアの掃除魚の成功に重要なポイントは、1匹が依頼者の外部寄生虫を食べている間にもう1匹は依頼者の粘液を食べるという、掃除魚側に得になる欺き行動をとりながら、同時に依頼者の満足も保証されるということにある。

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