Nature ハイライト

Cover Story:チャネルを通り抜ける:タンパク質のSecA-SecY複合体を介した膜透過

Nature 455, 7215

新しく合成されたタンパク質は、真核生物では小胞体膜、原核生物では細胞膜を通って移動するが、その際に真核生物ではSec61、原核生物ではSecYとして知られている、トランスロコンという進化的に保存されたタンパク質透過チャネルを通過する。細菌では、ATPアーゼSecAがSecYチャネルの透過用モーターとして働くと考えられている。T Rapoportたちによる2本の論文では、細菌由来のSecAとSecYの複合体の、長い間待たれていた構造が報告されている。表紙に示された構造は、SecAとSecY複合体の間の主な構造変化を示しており、SecAはそのツーへリックスフィンガーを用いて、透過するタンパク質をSecYの細胞質側に開口したじょうご状の構造の中に押し込んでいることが示唆される。架橋研究により、この機構のさらなる裏付けが得られている。また、濡木理(東京大学)たちは抗SecYのFabフラグメントと結合したSecYの結晶構造を報告しており、チャネルの開く前(pre-open)の状態が明らかになった。これらの論文から、膜を透過するタンパク質の経路に関する新たな知見が得られた。News and Viewsでは、A Economouが、この「驚くべき細胞ナノマシン」に関する現在の知識がどこまで広がったのかを考察している(Article p.936, Letters pp.984, 988, N&V p.879)。

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