不思議の国のアリスにも出てくるワニの「やさしく笑うその大口」は、進化の上では、腹ばいで四肢を横に広げた特徴的な歩き方を発達させる以前に獲得したものらしい。ワニ類の頭骨は非常に固く、顎の筋肉も大きい。そのおかげで、捕らえた獲物をゆっくりと噛みつぶして死に至らしめることができる。今週号でJ M Clarkたちは、知られるうちで現生ワニ類に一番近い親戚筋にあたるジュラ紀中期のワニ類化石について報告している。他の近縁な爬虫類と体型を比較したところ、現在のような顎の構造を進化させた頃の古いワニ類の体型は、陸上で獲物を追いかけるのに適していたことがわかった。つまり、ワニ類で現在のような半水生の生活様式が主流になったのは、水中環境で獲物を捕らえるのに必要な仕組みをいったん備えた後のことだったのである。