Nature ハイライト

Cover Story:ダーウィン生誕200年:人と著書を祝う

Nature 456, 7220

2009年2月はチャールズ・ロバート・ダーウィンの生誕200周年に、そして2009年11月は彼の偉大な著書、『種の起原』の出版150周年にあたる。19世紀および20世紀を通して、科学、政治、宗教、哲学、芸術へ及ぼした影響の大きさについて、ダーウィンに比肩する科学者は他にいない。今週号では、ダーウィンの生涯や科学的業績、そして彼の遺したものに関するニュースや研究・分析を特集している(Introduction p.295, Editorial p.281)。ダーウィンは「眼」を、非常に複雑で、機能が不完全な構成要素が1つでもあれば働けなくなるようにみえるため、自然選択の概念が受け入れられるのを阻む材料の1つだと考えていた。しかし現在、眼は進化が生み出した「最高のもの」の1つであることがわかっている。そこで、眼に関する折り込みの写真特集(p.304)と、ダーウィンが考えた「原始の眼」に関係する新しい研究(p.395)も掲載されている。ダーウィンは晩年の著作(1871年出版の『人間の進化(Descent of Man)』)で、群選択という、現在でもまだ進化生物学者の間で意見の分かれるテーマを取り上げている。自然選択は、集団の利益に反して個体に有利なように働くものなのだろうか。それとも、こうした考え方は古い時代ゆえの誤りなのだろうか。本誌ではこの議論と、なぜこの問題が重要なのか、その理由について論じ(p.296)、昆虫の世界で大きな存在感を示す超個体についての「画期的な著作」を紹介する(p.320)。絶滅は進化の研究領域で扱うテーマである。だが、これからもずっとそうなのだろうか。絶滅したマンモスのゲノム塩基配列が公表され(Letter p.387, N&V p.330)、一部の研究者は、マンモスはいつの日か復活可能だろうとさえ述べている(News Feature p.310)。生物学者は、進化した生体系を、精妙に調節された機械装置であって、1つの要素に欠陥があれば機能しなくなるものだと見なす傾向がある。しかし、T Chouardが明らかにしているように、現実世界ではそんなことはない(News Feature p. 300)。今週号のダーウィン関連の記事とオンライン限定の特別記事は、www.nature.com/darwinからアクセスできる。

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