世界のさまざまな地域で最古の人類居住や最古の石器製作があった年代は、人類進化を解明するうえで重要な情報となる。今回R X Zhuたちの報告によると、中国北部にはおよそ166万年前に、つまり西アジア最古の人類の存在記録からそれほど経たない時代に、すでに人類が存在していたのだという。この研究結果から考えると、人類はおそらく気候が比較的温暖になった時期を利用して、北方および東方へ長距離にわたって急速に拡散していったことになる。今回の成果は中国北部の泥河湾盆地にある馬圏溝遺跡の湖沼堆積物を発掘するなかで得られたもので、石器群や磁気層序学上の証拠から、この場所には166万〜132万年前の間に人類が何度か居住したとみられる。