抗癌剤の候補となる薬の中には、これまでのところ肺癌で期待したほどの効果が得られていないものがあり、新たな生化学的証拠に照らした再評価がなされるべきだとの報告がBrief Communicationsに寄せられている。プロテインキナーゼファミリーに属する酵素の異常は、癌の発生にかかわるとしばしば示唆されており、抗癌剤の標的として研究されてきた。P A Futrealたちは、このような酵素の1つ、膜貫通型チロシンキナーゼERBB2(HER2、neuとも呼ばれる)について研究してきた。120の原発性肺癌からとったERBB2遺伝子の塩基配列を調べたところ、その4%に重大な変異があることがわかった。しかし、これまでに開発されたERBB2阻害剤は結果が思わしくない。著者たちは、肺癌患者の中でもERBB2変異のある集団を選んで、これらの薬を再評価すべきだと述べている。