Nature ハイライト 気候:アメリカのオゾン取り込み 2010年1月21日 Nature 463, 7279 人為起源のオゾン前駆物質は主に窒素酸化物や揮発性有機化合物であるが、その排出によって、1800年代の後半以降、下層大気のオゾン濃度が広範囲にわたって増加している。大気の最下層では、オゾンは温室効果ガスであり、植物や動物の生態に有害な影響を及ぼすことがある。現在は、東アジアでこれらの排出増加速度が最も大きく、汚染物質の大部分は北米へ運ばれる。北米西部全域における、春季のオゾン観測の結果をまとめることで、1995〜2008年の間にオゾンの混合比が大きく上昇したことを示す証拠が得られた。上昇速度は、測定結果がアジアからの直接輸送の影響をより大きく受ける時期に最大となっている。以前にも疑われたが確認されていなかったこの現象は、アメリカ合衆国がオゾンに対する自国の大気環境基準を満たすことをより難しくする可能性がある。 2010年1月21日号の Nature ハイライト 細胞:腫瘍発生のマスター因子 合成生物学:合成系による同調 宇宙:揺さぶられて変質する小惑星 材料:微小スケールでの結晶変形 材料:ヒドロゲルの手堅い進歩 気候:アメリカのオゾン取り込み 進化:自然でない選択? 心理:思い込みで促される行動 目次へ戻る