Nature ハイライト 心理:思い込みで促される行動 2010年1月21日 Nature 463, 7279 ホルモンは動物間の社会的相互作用を変化させることが知られており、テストステロンは攻撃行動を誘発するとこれまで考えられてきた。こうした分類はヒトにも当てはめられていて、「テストステロンが刺激した」行動という考え方はなじみ深いものになっている。しかし、テストステロンが本当に反社会的行動を促進するかどうかはわかっていない。交渉ゲームで、テストステロンを1回投与すると公正な行動が増え、対立が減り、社会的相互作用が強まることが見いだされた。しかし、被験者にテストステロンを投与されたと信じさせると、実際に投与されたかどうかにかかわらず、プラセボ(偽薬)を投与されたと信じさせた被験者(同じく、実際に投与されている場合もいない場合もある)に比べて、不公正な行動が多くなることがわかった。つまり、テストステロンが増えているという反社会的なマイナスの暗示は、実際の生物学的結果が逆の場合でも、悪い社会的行動を引き起こすのに十分な強さをもつものであるらしい。 2010年1月21日号の Nature ハイライト 細胞:腫瘍発生のマスター因子 合成生物学:合成系による同調 宇宙:揺さぶられて変質する小惑星 材料:微小スケールでの結晶変形 材料:ヒドロゲルの手堅い進歩 気候:アメリカのオゾン取り込み 進化:自然でない選択? 心理:思い込みで促される行動 目次へ戻る