Nature ハイライト

細胞:腫瘍発生のマスター因子

Nature 463, 7279

侵襲性の高いヒト神経膠芽腫の中には、間葉系の表現型の特徴である遺伝子群を発現するものがあり、この特性は予後の不良と関連することがわかっている。今回、バイオインフォマティクスの手法を用いて、転写因子STAT3およびC/EBPβが、この間葉系表現型のマスター調節因子であることが同定された。これらの調節因子は、協同して腫瘍の発生や浸潤を促進する。また、この2つの因子を排除すると、間葉系遺伝子の発現が抑制されて、腫瘍の侵襲性は低下する。悪性度を高めるマスター調節因子をシステム生物学的に同定するこの手法は、臨床転帰の予測に役立つと考えられ、新規な治療戦略につながる可能性がある。

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