Nature ハイライト

合成生物学:合成系による同調

Nature 463, 7279

合成生物学での遺伝子回路を使う取り組みでは、コンピューターモデリングにより生細胞中で機能する小型遺伝子ネットワークを設計する。こうした手法の最初の成功例は、人工振動子とトグルスイッチである。それからまだ10年も経っていないが、J Hastyたちは今回、天然の「クオラムセンシング」遺伝子を操作することで、同調した大腸菌細胞からなる集団を作り出した。彼らは、マイクロ流体工学の手法と経時的蛍光顕微鏡法を使って、同調的振動や波動の伝播を制御する因子に関する一般則を導き出している。この研究は、もっと複雑な自然界の振動の研究に役立つと考えられる。今回のモデル系では遺伝子時計によって同調した発光が得られたが、似たような遺伝子スイッチを用いれば、例えばインスリン分泌や概日リズムに関係する事象を発動させることも可能かもしれない。

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