Nature ハイライト 細胞:筋肉細胞の運命と可塑性 2009年8月6日 Nature 460, 7256 マウス胚ではmiR-145とmiR-143という2つのマイクロRNAが、多能性心臓前駆細胞に存在することが示されている。miR-145は、成体繊維芽細胞がミオカルディン(myocardin)によって誘導される再プログラム化により平滑筋細胞となるのに必要であり、神経堤幹細胞の血管平滑筋細胞(VSMC)への分化を誘導するにはmiR-145だけで十分である。つまり、miR-145とmiR-143は、転写因子ネットワークを標的として、平滑筋細胞の分化を促進し、その増殖を抑制している。これらの知見は、miRNAが特定の細胞系列への分化を指示するスイッチとして機能しうることの証拠である。さらに、VSMCの分化した表現型と増殖表現型の切り替えは血管の閉塞に関係があるので、miR-145とmiR-143は、VSMCのこれらの表現型の間の調節を行っていることで、多くの血管系疾患に関連している可能性がある。 2009年8月6日号の Nature ハイライト 宇宙:決着のつかない宇宙線の起源 細胞:筋肉細胞の運命と可塑性 宇宙:もっと小さかった大質量銀河 宇宙:火星でのメタン生成の謎 環境:先カンブリア時代の緑化 考古:初期の音楽活動 人口統計学:世界人口の動向 医学:統合失調症のリスク因子 目次へ戻る