Nature ハイライト Cover Story:HIV-1の内部事情:全RNAゲノムの構造 2009年8月6日 Nature 460, 7256 完全なHIV-1ゲノムRNAの二次構造が決定された。これは、感染性ウイルス粒子から抽出された真正のHIV RNAの解析に基づくものである。ウイルスの一本鎖RNAゲノムの二次構造が機能的また調節的役割を果たすことは知られているが、今までのところ、どんなウイルスについても全RNAの包括的な解析は行われていなかった。今回、HIV-1ゲノムRNAが形成する全体構造の特徴を調べるのに、SHAPE(high-throughput selective 2′-hydroxyl acylation analysed by primer extension)という技術が使われた。高度に構造化されたモチーフが多数見いだされ、また、これらの多くについて機能の推定が行われている。RNAの構造要素の存在が、タンパク質の翻訳に影響し、またタンパク質の適切な折りたたみを促進していることがわかったのは重要である。これらの結果は、HIV-1ゲノムが確かに構造をもち、その構造成分がウイルスの適応に非常に重要であることを強調している。この研究から得られる考察は、HIV-1の生物学的性質の解明を進め、新しい抗レトロウイルス療法につながるだろう(Article p.711, N&V p.696)。 2009年8月6日号の Nature ハイライト 宇宙:決着のつかない宇宙線の起源 細胞:筋肉細胞の運命と可塑性 宇宙:もっと小さかった大質量銀河 宇宙:火星でのメタン生成の謎 環境:先カンブリア時代の緑化 考古:初期の音楽活動 人口統計学:世界人口の動向 医学:統合失調症のリスク因子 目次へ戻る