Nature ハイライト 発生:γ-グロビン発現への切り替え 2009年8月27日 Nature 460, 7259 脊椎動物の発生では胚から胎児への移行時に、血中のγ-グロビンをコードする遺伝子の発現の入れかわりが起こり、またマウスとヒトでは、グロビン遺伝子の発現が発生過程で調節される仕組みに差異がある。今回、ヒトのβ-グロビン遺伝子座をその周辺のDNA配列とともにマウスゲノムへ挿入した実験で、BCL11A遺伝子がこうした違いの原因であることが示された。BCL11Aタンパク質は、ヒトのγ-グロビンの発現抑制因子であることが、既に全ゲノム関連解析で同定済みである。進化の過程で起こった遺伝子発現変化のこの事例は、臨床的に重要なヒト胎児から成人へのヘモグロビンの入れかわり機構を解明する、新たな手がかりになると考えられる。 2009年8月27日号の Nature ハイライト 発生:γ-グロビン発現への切り替え 宇宙:親星に近づき過ぎたホットジュピター 物理:人工グラフェンのもつスピン 光学:表面プラズモンを操作する 気候:インド太平洋暖水域の長期的な温度変化 発生:個性的な脳を作り上げる 細胞:p53はがんと幹細胞性を関連付ける 目次へ戻る