Nature ハイライト

発生:個性的な脳を作り上げる

Nature 460, 7259

LINE(長い散在性反復配列)-1とよばれるレトロトランスポゾンは、in vitroの成体ラット神経前駆細胞(NPC)で、あるいはin vivoのマウス脳で、ゲノム全域にわたって移動できることが知られている。今回、ヒト胎児の脳から単離されたNPCやヒト胚性幹細胞から誘導されたNPCでも、改変されたヒトLINE-1がin vitroでレトロ転位を起こせることが示された。成人の海馬などの脳領域における内在性LINE-1のコピー数は、同一個人の心臓や肝臓のゲノムDNA中の内在性LINE-1のコピー数に比べて多くなっている。この結果は、LINE-1のレトロ転位が、個体の体細胞モザイク現象や脳での遺伝子発現の不均一性にかかわっている可能性を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度