Nature ハイライト

がん:KRASがんを狙い撃つ

Nature 462, 7269

ヒトがんの約20%ではRASファミリーの遺伝子に変異があらかじめ存在することから、RASタンパク質はがん治療の標的となると考えられている。RASタンパク質を直接標的とすることは、これまであまり成果が上がっていなかったが、今回2つの研究により、これに代わる標的がRAS下流のシグナル伝達経路に存在する可能性が示された。Barbieたちは、RNAiを用いた合成致死スクリーニングにより、NF-κBシグナル伝達経路中にあるTBK1がKRAS形質転換細胞の生存に必須のキナーゼであることを突き止めた。TBK1は抗アポトーシスシグナルを誘導することから、がんの治療標的となると予測される。一方、Meylanたちは、Krasの変異とp53の欠損によって肺がんが生じるマウスモデルを用い、NF-κB シグナル伝達経路は、この2つの変異の協同的な働きによって活性化され、腫瘍の発生と維持に必要であることを明らかにしている。

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