Nature ハイライト 物理:元の形に戻る高分子 2010年3月11日 Nature 464, 7286 形状記憶高分子は少なくとも半世紀前から知られている。このような材料は、特定の相転移によって決められる温度で変形すると、冷却しても新しい形状を維持するが、もう一度加熱すると元の形状に戻る。現在知られている形状記憶高分子は1つか2つの一時的な形状と、出発時の形状を記憶できる。今回、ゼネラルモーターズ研究開発センター(米国)のT Xieが、少なくとも四重の形状記憶効果を示す、つまり3つの「新しい」形状と元の形状を記憶できる材料について報告している。この材料は、市販されているアイオノマー(イオン架橋された重合体)であるペルフルオロスルホン酸(PFSAあるいはナフィオン)で、燃料電池の陽子交換膜に使えるため、詳しく研究されている。その幅広い可逆的相転移によって、形状記憶効果を高度に調整でき、化学組成を変化させる必要がなくなる。 2010年3月11日号の Nature ハイライト 医学:感染を阻止 医学:HIVの複雑な免疫学 医学:レトロウイルスのインタソーム 発生:片身替りの鳥 遺伝子:ピロリ菌のトランスクリプトーム 宇宙:一般相対性理論の検証 物理:元の形に戻る高分子 大気:対流圏でも起きている塩素汚染 発生:雌だけの種 細胞:塩の味 目次へ戻る