Nature ハイライト

生化学:FTOが肥満を標的とする仕組み

Nature 464, 7292

少ない脂肪量・肥満関連(FTO)遺伝子は、体重増加や肥満のリスクと関係している。FTOタンパク質はDNA/RNAデメチラーゼで、これを欠損したマウスは体脂肪が異常に少ない。今回、モノヌクレオチドである3-メチルチミジンと複合体を形成したヒトFTOの結晶構造が決定された。その構造から、タンパク質が一本鎖DNAと二本鎖DNAを区別する新たな機構が明らかになった。さらに、生化学分析により、以前は機能が不明だったFTOのC末端ドメインが、N末端の触媒ドメインとの相互作用を介して、FTOの触媒活性に必要とされることが示された。これらの結果は、FTOの基質特異性を理解するための構造的基盤を与えるとともに、抗肥満作用物質となる可能性のあるFTO阻害物質の合理的設計の基礎となる。

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