Nature ハイライト

細胞:SUMOを利用するリステリア菌

Nature 464, 7292

食物が媒介する病原体であるリステリア菌(Listeria monocytogenes)は、感染の際に、宿主細胞のもつ多くの機能を借用する。その中には、重要なタンパク質の活性の特異的修飾にかかわっている、ユビキチン化やリン酸化などの翻訳後修飾も含まれる。ユビキチン化に似たSUMO化とよばれる修飾は真核細胞で重要な働きをしているが、病原性細菌のSUMO化への影響はほとんど解明されていなかった。リステリア菌が感染したヒト細胞とマウスモデルでの研究により、リステリア菌の毒性因子であるリステリオライシンO(LLO)が、SUMO化装置に不可欠な酵素Ubc9の分解を引き起こして、細胞内のSUMO化タンパク質量を減少させることが明らかになった。今回の研究は、リステリア菌が重要な調節タンパク質のSUMO化レベルを低下させて、感染に対する宿主の応答を弱めていることを示唆しており、おそらくほかの病原菌も同じようなことを起こしていると考えられる。

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