Nature ハイライト

物性:接触させて過冷却を促進

Nature 464, 7292

液体中の局所的原子配列は、結晶の秩序とはかなり異なっている。しかし、結晶と接触すると、液体中の隣接原子が結晶の秩序をまねる場合があり、これは液体が凝固する引き金となることが多い。この「シーディング」効果はよく知られており、凝固点に近づきつつある水や、結晶核形成でみられる。今回、もっと意外な、これとは逆の効果が報告された。つまり、表面の原子構造が接触している液相の原子構造に似ていれば、結晶化が起こるのではなく、融点を大きく下回っても液体が液体のまま維持され、過冷却が実現するというのである。この現象は、シリコン基板上に層を形成した五角形配列の金原子と接触している金シリコン共晶液滴で観察された。この発見は、凝固の基礎研究や、相転移の実際的な制御にかかわりがある。例えば、過冷却状態を得るためによく用いられる無容器技術は、正二十面体配列の表面層で容器をコーティングすれば不要になるかもしれない。

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