Nature ハイライト

Cover Story:色の符号化:Winglessは、ショウジョウバエのなかなか見つからなかったパターン誘導因子である

Nature 464, 7292

貝殻や熱帯魚、ヒョウなどでみられるような動物体表の複雑な色彩パターンの形成は、発生生物学における古典的な難題である。パターン形成を説明しようとする試みの大半は、反応拡散機構に着目した理論的なものである。この機構では、狭い領域で拡散する活性化因子(モルフォゲン)と、広範囲に拡散する阻害因子の相互作用により、安定なパターンが生成されると仮定している。しかしこうした因子の候補となるモルフォゲンや阻害物質はこれまで明らかにされていなかった。S Carrollたちは、モデルとしてショウジョウバエの一種であるDrosophila guttiferaの翅の鮮やかな水玉模様を用いて、斑点がモルフォゲンのWinglessにより誘導されることを明らかにした。さらに彼らは、新たな部位でWinglessを発現させることで、この複雑な水玉模様がより単純なスキームから進化した可能性を示している。表紙の合成画像で、左の翅はD. guttiferaの翅脈上の16の斑点と翅脈間の4つの着色部分を示し、右側の翅はダブルトランスジェニックD. guttiferaの蛹の翅の翅脈上の斑点と翅脈間着色点のシス調節配列活性を合わせて示している(Article p.1143)。

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