Nature ハイライト 古生態:マダガスカルへの海の旅 2010年2月4日 Nature 463, 7281 マダガスカルには、目を見張るような風変わりな動物相がみられる。マダガスカルの哺乳類はアフリカの哺乳類とは遠い類縁関係にあるが、数千万年にわたって隔離され、明らかな進化を遂げている。しかし、彼らの祖先はどのようにしてこの島にたどり着いたのだろうか。古生物学者ジョージ・ゲイロード・シンプソンは1940年に、動物がアフリカから漂流物に乗って海を渡るという、運任せの賭けをしてたどり着いたのだとする「一か八か仮説」を提唱した。この仮説は、マダガスカルの固有動物相がもつさまざまな奇妙さを、海流の問題を除いてうまく説明できる。しかし、現在の海流はこれに当てはまらず、アフリカに向かう方向に流れているのだ。これに対して、陸地が直接つながっていたところを移動したとする「陸橋」仮説もあるが、マダガスカルの哺乳類が独自の進化のコースを歩み始めたころには、ここは既に島になって孤立していたため、この仮説も除外される。J AliとM Huberは今回、この問題への1つの答えを出した。5,000万年以上前の始新世の海流を再構築し、海流はその時期には西から東へ流れており、動物が漂流物に乗って海を渡りマダガスカルへ移住することが可能だったことを明らかにしたのである。 2010年2月4日号の Nature ハイライト 細胞:細胞の運命を決めるバランス関係 細胞:抗マラリア薬の標的となるプロテアーゼ 宇宙:太陽系外惑星の大気 生物物理:接続されて光を集める 地球:サンアンドレアス断層の微動 古生態:マダガスカルへの海の旅 遺伝:肥満に導く遺伝子 生化学:薬剤結合部位を2つもつインフルエンザウイルスタンパク質 目次へ戻る