Nature ハイライト

遺伝:肥満に導く遺伝子

Nature 463, 7281

肥満は非常に遺伝性の高い疾患だが、これまで報告されてきた遺伝的相関からは、ボディマス指数の遺伝的変動のごく一部分しか説明できない。今回2つの研究グループが、染色体16p11.2上の欠失は、まれではあるが存在すれば重度の肥満を伴うことが極めて多い、遺伝的浸透度の高い変異であり、この欠失によって、「明らかにされていない遺伝性」を部分的に説明できる可能性があると報告している。これは、臨床症状との関連性が低い、ありふれた遺伝子欠失とは対照的である。Bochukovaたちは、早期発症の重度肥満患者300人について調べ、レプチンおよびインスリンシグナル伝達への関与が知られている、SH2B1を含む遺伝子の欠失によって生じたコピー数多型が存在することを見いだした。これらの患者の多くは、神経発達障害も併発していた。またWaltersたちは、これまで知られていなかったタイプの重度肥満患者31人で、少なくとも593キロベースの欠失が存在することを見いだした。変異の同定に彼らが用いた戦略は、極端な表現型をもつ小規模コホートでの詳しい表現型解析と、全ゲノム関連研究並びに集団コホートでの標的を定めた追跡調査を組み合わせた方法である。これは、複雑な代謝性疾患の「明らかにされていない遺伝性」をもっと広く探し出す方法として期待される。

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