Nature ハイライト

Cover Story:気候変動の気配:鮮新世初期には熱帯性低気圧が永続的なエルニーニョ類似状態を維持していた

Nature 463, 7284

地質学的過去において、鮮新世初期(500万〜300万年前)は、現在の地球温暖化と最もよく似た環境であったと考えられている期間である。古気候データは、エルニーニョに似た状態が持続し、熱帯太平洋全体にわたって海面水温がほぼ一定であったことを示唆している。A Fedorovたちは、結合気候モデルとハリケーンモデルを使って、この時代にはハリケーンが頻発し、現在はほぼ全くハリケーンが発生していない中部太平洋でその数が特に多く、このハリケーン活動が東部赤道太平洋の水温上昇を3 °C程度増強して、それがさらにハリケーンの発生頻度を増加させてきた可能性を示している。表紙はこれらの結果を表している。大きいほうの地球には、シミュレーションから得られた、1年分のハリケーンの軌跡(強さによって色分けされている)が示されている。海面は、鮮新世初期の全球気候モデルシミュレーションにハリケーンが引き起こす海洋混合が取り込まれている場合の水温で色分けされている。小さいほうの地球は、シミュレーションから得られた、現代の1年分のハリケーンの軌跡を示しており、海面水温はハリケーンによる混合を取り込んでいないシミュレーションから得られたものを示している(Letter p.1066, N&V p.1032)。

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