Nature ハイライト 細胞:マイクロRNAの伝承 2010年2月25日 Nature 463, 7284 広範に存在し、調節に重要な役割をもつ小分子の非コード遺伝要素であるマイクロRNAは、多細胞動物の複雑性の進化に重要であったことが、最近の研究により示唆されている。こうしたマイクロRNAが最初に生じたときの役割はどのようなものだったのだろうか。海産のゴカイであるPlatynereis dumeriliiの詳細な塩基配列解読研究とほかの左右相称動物との比較から、miR-100の活性が最初にみられたのは、口の周囲の神経分泌細胞であったことが示唆された。miR-100は最も古い起源をもつマイクロRNAであることが知られているが、ほかのよく保存されてきたマイクロRNAが最初に存在したのは、繊毛細胞、神経系の一部、筋肉組織や消化管など、特定の組織や臓器系であった。この研究は、左右相称動物の最終共通祖先が既にこのような構造をすべて備えていたことを示唆している。 2010年2月25日号の Nature ハイライト 発生:神経への直接転換 細胞:AIDタンパク質と分化多能性 医学:喘息でのスフィンゴ脂質の役割 宇宙:いびつなホットジュピター 材料:輝かしいドーピング技術 地球:海底の微生物ナノワイヤー網 古生物:赤毛の恐竜 系統分類:節足動物の世界 細胞:マイクロRNAの伝承 脳:富めるときも、貧しきときも 目次へ戻る