Nature ハイライト

細胞:iPS細胞のカギとなる遺伝子クラスター

Nature 465, 7295

誘導多能性幹(iPS)細胞が胚性幹(ES)細胞とどの程度同等であるかは、いまだに結論の出ていない問題である。ES細胞と比べると、iPS細胞には何百もの遺伝子の異常な発現がみられるとする報告もいくつかある。しかしiPS細胞は、発生能に関する最も厳密なテストの1つである、完全にiPS細胞に由来するマウスを四倍体胚補完法により作出できるかという問題では、合格点に達する能力をもっている。Stadtfeldたちは今回、複雑な要素を最小限に抑えて、この問題に取り組むために、遺伝的に同一なマウスES細胞とiPS細胞での遺伝子発現を比較した。mRNAおよびマイクロRNAの全体的な発現パターンは、染色体12qF1上のインプリント遺伝子クラスターにコードされる少数の転写産物と20種類未満のマイクロRNAを除いて、区別がつかないことがわかった。つまり、iPS細胞の発生能は、この部位で遺伝子が抑制されるか、あるいは活性化されるかに依存している。

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