Nature ハイライト

進化:なぜ助け合う?

Nature 428, 6983

協力の存在、なかでも血のつながりのない者どうしの助け合いは、進化論の見地からすると説明しがたい。なぜ自分のことを犠牲にしてまで他人を助けるのだろうか。今週号で2つの研究チームがこの問題に新しい光を投げかけている。 協力による利益は得ても、それに対する代償を払わない裏切り者が存在し、こうした裏切り行為に対して助けた個体は何の手だても打てない。ふつうに推し量れば、狭い地域で繁殖する集団では個体どうしが助け合うことで利益を得る群れが生じるため、協力の戦略を進化させる見込みが高い。 まずC HauertとM Doebeliは、進化のゲーム理論とよばれる数理理論を使い、生物集団の空間構造が助け合いの進化を実際には妨げうる条件を解明している。それによると、局所の個体集団が枝を伸ばすように分散していくため、協力者は裏切り者の「やらずぶったくり」の被害に遭いやすくなる可能性があるという。 進化のゲーム理論をベースにした協力のモデルでは往々にして、集団の大きさを無限とする生物学的にありえない仮定条件が採用される。もう1つの論文ではM Nowakたちが、協力の進化には有限な集団サイズが決定的に働くことを明らかにし、助け合い行動が出現し進化的な安定状態に至るために必要な、自然選択の諸条件をあげている。

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