Nature ハイライト 物性:スピントロニクス・キュービットの有望株 2010年10月28日 Nature 467, 7319 非磁性半導体ホスト中の孤立した磁性ドーパント原子は、スピントロニクス応用に有望な系である。それらの原子は、極めて小さなコンパスの針のように振る舞うが、それぞれの「コンパス」は異なる方向を向くので、従来の情報技術でのビットと同種の情報を保持できる。これまで、局所的な原子構造とドーパントの磁気特性との相関の研究は不可能だった。Khajetooriansたちは今回、二次元半導体系内の個々の磁性ドーパントのスピン励起を測定できる高感度走査プローブ技術を開発した。要するに、この技術は原子コンパスの針の向きを読み取れるのである。ドーパントは孤立した量子スピンとして働き、スピンは大きな磁気異方性効果によって表面の面内方向を向くことが明らかになり、この結果は計算によっても裏付けられている。今回の研究は、半導体中に埋め込まれた磁性ドーパントについて、原子スケールで単一スピン研究を行う出発点となる。 2010年10月28日号の Nature ハイライト 構造生物学:気孔の陰イオンチャネルSLAC1の構造 宇宙:最も重い中性子星の発見で除外される「エキゾチックな」非核子成分 物性:スピントロニクス・キュービットの有望株 地球:海洋リン酸塩の地質史 進化:アフリカ類人猿の初期の多様性 脳:視覚型の脳–マシンインターフェース 医学:膵臓がんの時間経過 細胞:細胞誘導に働くプレキシンシグナル伝達 目次へ戻る