Nature ハイライト 脳:視覚型の脳–マシンインターフェース 2010年10月28日 Nature 467, 7319 脳は、外界から入るたくさんの感覚刺激のうち少数の刺激に集中して情報処理するために、刺激を常時選別しなければならない。内側側頭葉(MTL)のニューロンは、特定の視覚対象に選択的に応答し、その活動は認知機能によって調節されることが知られている。今回Cerfたちは、新しい脳–マシンインターフェースを構築した。これを用いて、神経外科処置を受けた被験者に2つの像が重なったコンピューター画像を見せ、一方の像をフェードインもしくはフェードアウトするよう求めたところ、被験者はすぐに、異なる大脳半球や小領域にあるMTLニューロンの活動を調節することを学習し、特定のニューロンの発火率を上げると同時にほかのニューロンの発火率を下げて、合成画像の内容を制御できるようになった。この研究結果は、ヒトが自分の脳の内部にある視覚ニューロンの活動を調節できること、またそうした活動を解読してデバイスを制御できることの直接的な証拠となる。このようなインターフェースデバイスによって、例えば閉じ込め症候群や運動ニューロン疾患など、さまざまな神経障害を抱える患者のコミュニケーションを補助することが、将来可能になると期待される。 2010年10月28日号の Nature ハイライト 構造生物学:気孔の陰イオンチャネルSLAC1の構造 宇宙:最も重い中性子星の発見で除外される「エキゾチックな」非核子成分 物性:スピントロニクス・キュービットの有望株 地球:海洋リン酸塩の地質史 進化:アフリカ類人猿の初期の多様性 脳:視覚型の脳–マシンインターフェース 医学:膵臓がんの時間経過 細胞:細胞誘導に働くプレキシンシグナル伝達 目次へ戻る