Nature ハイライト
地球:海洋リン酸塩の地質史
Nature 467, 7319
リンは海洋における一次生産を制限する栄養素だと一般に考えられており、大気–海洋系の酸化還元状態を調節するうえで重要である。Planavskyたちは、鉄酸化物に富んだ堆積岩石中の鉄に対するリンの比の時間変化を用いて、海洋リン酸塩貯蔵庫の進化を調べた。その結果、地球史における過去5億4,200万年間は、リン酸塩濃度が比較的一定だったことがわかった。データは、約7億年前に起きたいわゆるスノーボールアース氷河期の直後に、溶存リン酸塩濃度が高かったことも示している。それが一次生産速度や有機炭素埋設速度を増加させて大気中酸素濃度の上昇をもたらし、後生動物の繁栄への道を開いた可能性がある。