Nature ハイライト 細胞:染色体に輪をはめる 2004年7月29日 Nature 430, 6999 真核生物の細胞分裂の際には、センチメートル単位の糸状のDNAは凝縮されて、特徴的な形の染色体を形成する。DNAが複製されて生じた2個のコピーは、コヒーシンとコンデンシンと呼ばれる環状のタンパク質複合体によって1つにまとめて保持される。これらの複合体は2本のDNA鎖をそれぞれ取り囲んで、2つのコピーを離れないように保つ網目構造の接続点となるものと考えられている。2つのコピーは、シグナルを受けると初めて分離して、別々の娘細胞へと分配される。今回、A Lengronneたちにより出芽酵母の染色体上に並んだコヒーシン結合部位が高分解能で解析され、これらの接続点の位置が明らかになった。コヒーシンやコンデンシンの環はDNAに固く結合しているのではなく、DNAからmRNAへの転写にかかわる別のタンパク質複合体によって押されて移動するらしいという意外な性質がわかったのである。 2004年7月29日号の Nature ハイライト 生態:細菌群集は友達と親戚ばかり? 物理:分離の方法 進化:クローンの攻撃 物理:摩擦の非線形性 行動:リスの聞こえない鳴き声の秘密 細胞:染色体に輪をはめる 目次へ戻る