Nature ハイライト 物理:分離の方法 2004年7月29日 Nature 430, 6999 2種の混合液体を分離することは、一見無理に思える。この作業に電気を用いても効果が見込めないとされてきたのは、混合の原因である熱撹拌に比べると、電場の影響は通常はるかに弱いためである。冷却すれば熱撹拌を抑えられるものの、液体が自ら分離する温度から数十分の1 K以内にまで冷却して初めて、電場は混合に影響を及ぼす。今回L Leiblerたちが、もっと実用的な方法を報告している。彼らは、電場が一様でなければ、単純液体の混合物の分離を効果的に制御できることを示した。約50 μm離れた平行でない電極に100ボルトの電位差をかけることにより、パラフィンとシリコン油の混合液がそれぞれの成分に分離したのである。電場の勾配を切ると、混合液は再び均一になった。分離に対するこの直接的な制御は、電場の強度と電極の幾何学的配置によって決まる。Leiblerたちは、この現象がナノテクノロジー分野で幾つもの応用があると期待している。しかし、はたしてこの技術で紅茶におちたトマトケチャップを取り出せるものだろうか。 2004年7月29日号の Nature ハイライト 生態:細菌群集は友達と親戚ばかり? 物理:分離の方法 進化:クローンの攻撃 物理:摩擦の非線形性 行動:リスの聞こえない鳴き声の秘密 細胞:染色体に輪をはめる 目次へ戻る