Nature ハイライト

医学:HIV/ポリオワクチン説を否定

Nature 428, 6985

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の流行は、汚染されたポリオワクチンによって引き起こされたのではないらしい。サルの免疫不全ウイルスがポリオワクチンに混入したために、免疫不全ウイルスがヒトにうつったという推測に終止符を打てそうだ。 経口ポリオワクチン(OPV)/エイズ説では、ヒトへ感染したサル免疫不全ウイルス(SIV)の起源は、OPVの製造にその組織が使われたとされているコンゴ民主共和国産のチンパンジーであると考えられている。しかし実際はそうではないことを、今回M Worobeyたちが明らかにした。彼らはSIVがコンゴの野生チンパンジーに特有ではあるが、チンパンジーの間で広まっているウイルスはHIV-1のどの系統とも大きく異なっていることを示した。これは、コンゴのチンパンジーがヒトのエイズ流行の起源ではないことを示す直接的証拠である。 ポリオワクチンの安全性への懸念によって、ポリオ根絶の国際キャンペーンが危機にさらされている今、これは実にタイムリーな成果である。今回のデータでOPV/エイズ説はついに影をひそめることになるだろうとWorobeyたちは述べている。

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