Nature ハイライト

発生:男性は要らない?

Nature 428, 6985

男性諸君、ご用心を。単為生殖でマウスが誕生した。これは精子も雄の染色体も、さらには雄自体も要らないということを意味する。 昆虫や爬虫類の中には単為生殖で繁殖するものがある。単為生殖では、未受精卵が染色体を2組もっており、まるで受精したかのように発生し始める。しかし哺乳類では、単為生殖による繁殖は事実上不可能だと考えられてきた。未受精卵を刺激すると生きた胚にはなるが、その後発生が進まないのだ。 今回、河野友宏たちは単為生殖マウスを作り、成体にまで発生させた。単為生殖マウス第1号の「Kaguya(かぐや)」は、成長して健康な雌の成体マウスになり、正常に子供を産んだ。このKaguyaのもとになった卵には、母系の遺伝物質だけが含まれる。河野たちはドナーの卵に含まれるある重要な遺伝子をノックアウトし、インプリンティング(1つの遺伝子につき2個あるコピーの一方を働かなくする過程)を変化させた。 今回の研究で、インプリンティングが単為生殖胚の発生能に影響を与えることが明らかになった。「全体としてみると、河野たちの研究はインプリンティングを受けた遺伝子の不適切な発現が哺乳類の自然な単為生殖を不可能にしている主な原因の1つであることを示す有力な証拠である」と、D A F LoebelとP P L TamがNews and Viewsで述べている。

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