乱獲がマダラの繁殖戦略を変えてしまったようだ。マダラの数は1980年代後期から1990年代初期の間に99%以上も減ってしまったが、繁殖上の変化はこの激減の時期の前にすでに現れていたのだという。つまり、こうした繁殖への影響は、他の魚種の個体群についても激減を警戒するための目安となりうる。E M Olsenたちの報告によると、カナダ東岸沖のタイセイヨウマダラ(Gadus morhua)の雌では、平均成熟魚齢が1980年には6年だったのが、1987年には5年ほどに短縮されている。これは、成熟魚齢の高い個体のほうが繁殖可能になる前に捕獲されてしまう確率が高く、そのため成熟魚齢の低い個体のほうが有利になるからである。著者たちによれば、カナダでは1992年以降、大西洋海域のマダラ漁が禁止されてきたが、マダラの数はいっこうに回復していない。「漁業は捕獲対象とする個体群に進化上の変化を生じさせることができ、この潜在的影響力はもはや見過ごされるものではない」とNews and ViewsでJ A Hutchingsは論評している。