新しい方法が自然選択の研究の助けになりそうだ。この方法では、単一のゲノム配列を用いて、複数の遺伝子にかかる選択圧を評価する。J B Plotkinたちは、結核菌Mycobacterium tuberculosisとマラリア原虫Plasmodium falciparumという2種類の病原生物について、各遺伝子にかかる選択の相対強度を明らかにした。免疫応答を引き起こすタンパク質である抗原の大部分は、強い選択圧のもとにあるという。他にも、特徴がわかっていない多数のタンパク質にも強い選択圧がかかっている。選択圧を調べるためにこれまで利用されていたのは、DNAの短い領域どうしの差異を比較するという方法である。この新しい方法は必要なデータがはるかに少なくてすみ、ゲノム全体について選択を調べられる。ゲノム配列が解読されたさまざまな生物にすぐに応用が可能だと、著者たちは述べている。