ネアンデルタール人は意外に速く発育したらしい。彼らの前歯の成長速度を解析したところ、15歳という若さでもう大人の体になっていたことがうかがわれたのである。報告したF V Ramirez RozziとJ M Bermudez de Castroによれば、現生人類の歯は大きくなるにつれて成長率が遅くなるが、ネアンデルタール人の場合、エナメル質の成長は歯の形成時を通して一定の速度だったという。この発見は数百本の化石の歯を調べて得られたもので、およそ3万年前にヨーロッパから姿を消したネアンデルタールが現生人類と明らかに別の種だとする説を裏づける結果となった。さらに今回の発見からみて、現生人類よりも脳が大きかったネアンデルタール人は、こうした速い成長速度を支えるために毎日消費したカロリー量は大きく、代謝速度も速かったに違いない。発育全体をもっとよく反映する臼歯を調べればネアンデルタール人に関する説の解明が進むはずだと、J KelleyはNews and Viewsで述べている。