Nature ハイライト
考古:アウストラロピテクス類の移動を示す歯の記録
Nature 474, 7349
絶滅した動物種の行動圏および土地利用の習性を推測するには、どうすればいいだろうか。1つの方法は、歯の化石のストロンチウム同位体含有比を測定することだ。なぜなら、ストロンチウムの同位体比は、その動物が生存中にどこで水を摂取したかを示す優れた指標になるからである。この「水の痕跡」は、環境の地質によって決定される。南アフリカで出土したアウストラロピテクス・アフリカヌスおよびパラントロプス・ロブストゥスの化石標本に関するストロンチウム同位体研究によって、女性と推測される小型の個体は、男性よりも行動圏が広かったことが明らかになった。このことから、当時の女性には出生集団から離れて別の集団に加わる傾向があったが、一方で男性は出生地にとどまる傾向があったと考えられる。この行動特性はヒトおよびチンパンジーのものであり、大部分のゴリラおよびほかの霊長類では見られない。
2011年6月2日号の Nature ハイライト
構造生物学:病原性大腸菌の線毛構造
工学:グラフェン系フォトニックチップ
地球:白紙に戻ったスノーボールアースの出口
地球:氷の下のフィヨルド
考古:アウストラロピテクス類の移動を示す歯の記録
生態:地底に棲む線虫類
古生態:オポッサムの社会史
進化:潜在的変異で事態に備える
神経:初期の神経発達