Nature ハイライト
生態:地底に棲む線虫類
Nature 474, 7349
この20年間で、地殻内にさまざまな単細胞生物が生息していて、深部地下生物圏と呼ばれるものを形成していることがわかってきた。今回発表された論文では、深部地下生物圏で多細胞生物が初めて見つかったことが報告されている。見つかったのは線虫類で、そのうちの1つは新種である。これらの線虫類は長さが最長でも0.5 mm程度で、細菌を摂食し、交配を行わず単為発生によって生殖し、南アフリカのベアトリクス金鉱の深度3 kmという高温の生息環境にも耐えられる。類似の生物は、海底下の一部の環境にも存在するのではないかと考えられる。また、このような過酷な環境で多細胞生物が生存可能であることは宇宙生物学にもかかわってきそうだ。
2011年6月2日号の Nature ハイライト
構造生物学:病原性大腸菌の線毛構造
工学:グラフェン系フォトニックチップ
地球:白紙に戻ったスノーボールアースの出口
地球:氷の下のフィヨルド
考古:アウストラロピテクス類の移動を示す歯の記録
生態:地底に棲む線虫類
古生態:オポッサムの社会史
進化:潜在的変異で事態に備える
神経:初期の神経発達