Nature ハイライト

地球:地球温暖化論争が解決される?

Nature 429, 6987

地球温暖化については、地表での測定値と人工衛星による測定値に食い違いがみられてきたが、今回行われた研究によって、長期間にわたる意見の不一致に決着がつくかもしれない。この研究では、人工衛星の記録に基づく過去の温暖化に関する測定値が、地表気温が示唆するものよりかなり小さい傾向を示す理由が説明されている。 Q Fuたちは、米国海洋大気庁が運用する人工衛星に搭載されたマイクロ波探査計が記録した気温の傾向が予測よりも小さいのは、測定装置が成層圏の気温も一部記録するからだと考えている。成層圏、つまり地表から約10〜50 kmの大気部分は、成層圏と地球とに挟まれた温まりやすい対流圏に比べて大きな冷却傾向を示す。 Fu たちがこの成層圏の影響についてデータを補正してみたところ、人工衛星の記録と地表気温測定とは矛盾しなくなった。この結果からすると全般的な地球温暖化は10年あたり約0.17℃であると推定される。

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