細胞で新たにつくられたタンパク質はどれも、細胞全体に広がる管状の構造である小胞体へと運ばれ、そこでポリペプチド鎖が折りたたまれて成熟型になる。正しく折りたたまれなかったタンパク質は情け容赦なく小胞体から運び出され、破壊されて細胞から消え失せる。こうした機構はよくわかっていなかったのだが、B N LilleyとH L Ploeghは今回、ヒトサイトメガロウイルスがもつタンパク質US11に着目した。このタンパク質は、免疫系のタンパク質にちょっかいを出して「ゴミ」という目印を付けて細胞に破壊させ、感染中のウイルスの安全を確保する。US11はヒトのDerlin-1というタンパク質に結合する。酵母では、Der1pというタンパク質が、誤って折りたたまれたタンパク質の小胞体からの運び出しと分解に関わることが知られているが、Derlin-1はこのDer1pと非常によく似ている。また、もう1つの論文でT A Rapoportたちは、これとは異なる研究方法を使ったDerlin-1の単離について報告している。