水星は太陽に最も近く、3:2自転・軌道共鳴に捉えられている。このことは、水星が太陽の周囲を2回公転するごとに3回自転するということを意味し、1水星年が1.5水星日でしかないという奇妙なことが起きる。3:2共鳴は非常に安定だが、水星がどのようにしてこうなったのかは難しい問題だ。惑星力学の現実的モデルによれば、この確率は7%前後しかないことが分かっている。今回A C M CorreiaとJ Laskarがこの矛盾を解決した。水星の軌道は幾分離心的、つまりかなりの楕円軌道であって、水星の軌道が持つよく知られたカオス的性質から、過去にはさらに楕円軌道であった可能性が高いという。そして、離心率が0.325(真円では0、楕円が伸びきって一直線になれば1となる)を超えると、3:2共鳴が最も起きやすくなり、シミュレーションでは55%以上の割合で生じることが示された。