Nature ハイライト 遺伝:造礁サンゴのゲノム解読 2011年8月18日 Nature 476, 7360 サンゴ礁は地球上で最大級の生物多様性を持つ生態系で、経済的にもきわめて重要である。その中心的存在であるイシサンゴ類は海洋酸性化や海水温上昇の影響を受けやすいため、サンゴ礁は危機にさらされている。今回、サンゴの共生の分子基盤や環境変化に対する応答を解明する目的で、造礁サンゴであるコユビミドリイシ(Acropora digitifera)のゲノムが解読された。このサンゴはシステイン生合成に重要な酵素の1つを失ったらしく、このアミノ酸を共生者に依存している可能性がある。ゲノムには、紫外線からの防御にかかわる遺伝子が複数存在するが、それらは原核生物からの水平伝播によって得られたものかもしれない。このサンゴの自然免疫のレパートリーは、単体で生活するイソギンチャクよりも複雑であることから、自然免疫にかかわる遺伝子の一部が共生またはコロニー形成性に関与していると考えられる。 2011年8月18日号の Nature ハイライト 発生:R-spondinを使う組織再生 医学:よく見られるリンパ腫ではヒストンが変化している 宇宙:「ライマンαブロブ」からの偏光輝線 気候:ダストの供給は気候変動の要因である 遺伝:造礁サンゴのゲノム解読 進化:顎が出現可能な顔を持つ無顎脊椎動物 心理:幼児にも見られる分かち合い 植物:花を咲かせるホルモンが気持ちを伝える仕組み 細胞:β酸化の経路を逆進させてバイオ燃料を作る 目次へ戻る