Nature ハイライト

遺伝:造礁サンゴのゲノム解読

Nature 476, 7360

サンゴ礁は地球上で最大級の生物多様性を持つ生態系で、経済的にもきわめて重要である。その中心的存在であるイシサンゴ類は海洋酸性化や海水温上昇の影響を受けやすいため、サンゴ礁は危機にさらされている。今回、サンゴの共生の分子基盤や環境変化に対する応答を解明する目的で、造礁サンゴであるコユビミドリイシ(Acropora digitifera)のゲノムが解読された。このサンゴはシステイン生合成に重要な酵素の1つを失ったらしく、このアミノ酸を共生者に依存している可能性がある。ゲノムには、紫外線からの防御にかかわる遺伝子が複数存在するが、それらは原核生物からの水平伝播によって得られたものかもしれない。このサンゴの自然免疫のレパートリーは、単体で生活するイソギンチャクよりも複雑であることから、自然免疫にかかわる遺伝子の一部が共生またはコロニー形成性に関与していると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度